第2節

 日本人であるということ(自身18歳)


 スカウトに気に入られたことで、すっかりアメリカのプロの野球選手になった気分になり、日本では同級生を見下した感じすらあったのかもしれなかった。現に高校3年生の最後の大会前に野球部を退部するという暴挙にまで出たのである。これについては後ほどの機会に語ることにしたいと思う。

 高校の卒業式を1ヶ月前に控えた1月の終わりに、卒業式を出ないつもりでアメリカ行きを決めた。特に同級生からは惜しむ言葉もなく、この頃にはチームメイト達とも深い溝が出来ていたことは分かっていた。野球を選んだ人生はこの頃からすでに孤独との闘いでもあった。高校3年間、応援してくれていた当時の恋人だけが唯一の理解者であるとも思っていた。

 アメリカに渡る直前に、「プロになりたければ高校を卒業してすぐにアメリカに来い」といってくれたスカウトに連絡を試みた。

 しかし何度連絡を試みても一切の音信が途絶えていたのである。

 一抹の不安を抱えながらも「向こうに行けば何とかなるだろう」と楽観的に解釈し、飛行機に乗り、フロリダへと向かった。フロリダへは当時3本の便を乗り換えてたどり着かなくてはならなかった。12時間、4時間、2時間と、それぞれ間に待ち時間を含めると25時間もかかったのである。

 向こうに着く頃にはクタクタになりながらも、迎えのバンが来ていたことに安心し、宿舎へと向かった。

 翌朝、衝撃の事実を知るのである。

 もうここに来るのも3回目にもなったものでコーチ陣とも仲良くなっていたこともあり、何気なくあのスカウトのことを聞いてみたのである。

 ・・・・・・

 スカウトを解雇されていたのである。

 

 甘かった・・・。そんなことが起ころうとは当時18歳の私には思いもよらなかった。

 メジャーリーグでは16歳から契約を結べるというルールが存在するのだが、焦るあまり選手の年齢をよく確認しないまま契約しようとしてしまったらしい。特に南米系の選手は英語が不自由であるため意思確認も半端なまま契約してしまうことも多い。

 そのスカウトだけが頼りであったのに、私の中の淡い夢が崩れ去っていくのが分かった。

 しかしこのまま日本に帰るわけにはいかない、私には強烈な意地があった。「このままどこかのプロテストでも受けて、受かればいいんだ」そう思い、コーチにテストのスケジュールを乞うたのである。

 

 テスト会場に行くと、多くの選手達が 我こそが先にとひしめき合っていた。その中で、当時英語も不自由な18歳の私がその選手達を押しのけて前に出てアピールすることは簡単ではなかった。

 結局その後も含め、3回のテストでは何のアピールも出来ずに終わってしまった。

 そして4回目のテストでは今までの教訓を活かし、恥を捨て、誰よりも早くグラウンドに出てウォーミングアップをし、目に付いた球団関係者には全て大きな声で挨拶をした。

 コンディションは決して悪くなかったので、もしかしたらという期待はあった。

 ・・・・テスト終了後、スカウトに呼ばれ、「キャンプに参加しないか」と言われたのである。もう一人、アメリカ人の青年も呼ばれていた。

 これでまた心の奥で淡い夢が復活したのである。

 

 そしてまた練習の日々に戻り、数日がたったのに連絡が来ない。いやな予感がし、今度はコーチに電話をかけてもらい、事実を確認してもらうことにした。

 

 「国籍はどこだ?」

 ビザは持っているのか?」

 私は言っている意味がよく分からず、「国籍は日本で、ビザは取っていない」とだけ答えた。

  ・・・・

 コーチが電話の向こう側と何かを話している。コーチの表情が、「それはしょうがない。残念だ」といったような感じに映った。

 ・・・・コーチが残念そうに話してくれた。そう、日本人がアメリカでプロ選手として生活するためには就労ビザがいるのである。プロは野球をしてお金をもらうのであるから、外国人はそのために政府の許可が必要なのである。

 本当に何も知らなかった18歳の私は、日本人であることはアメリカでは外国人である、ということを思い知らされたのである。

 たいていの球団はビザを用意してくれる。しかし今回のような、すでに球団の持っているビザを、抱えている外国人選手で使い切ってしまっているというケースは多い。

 そして、これから野球の実力だけでなく、国籍という崩せない壁もハードルとして常につきまとったのである。

 

次回 

 第3節:華やかな世界の裏側で踏まれていく多くの選手達(自身19歳)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

第3節:華やかな世界の裏側で踏まれていく多くの選手達(自身19歳)

第4節:勝負の世界がこれほどまでに無情で過酷であるとは思いもしなかった(自身19歳)

過去節

第1節:松坂世代ということは「能力があって当たり前」という世間の先入観を生んでいた(自身18歳)

 

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